「サイケ・ポップの完成域」おすすめ度
★★★★★REVOLVERで顕著になり、SGT. PEPPERS LONELY HEARTS CLUB BANDで一気に花開いたTHE BEATLESのサイケデリック志向。MAGICAL MYSTERY TOURもまた、当時の時代の空気を伝える極彩色豊かなサイケ・ポップの代表作。
確かにトータル感に欠け、アルバムとしての出来は満足いかないものがある。しかし、表題曲を始め、THE FOOL ON THE HILL、YOUR MOTHER SHOULD KNOW、STRAWBERRY FIELDS FOREVERなど、個々の楽曲はどれもサイケ・ポップの1つの完成型と言わしめたくなるほど素晴らしい。
あのTHE ROLLING STONESをも極彩色に染めた当時の英ロック・シーン。TOMORROWやBLOSSOM TOES、ANDWELLA DREAMSなどサイケ・ポップの名作を残したグループは数々あれど、頂点にはTHE BEATLESがいたことを確認させる1枚。
「隠れた入門盤」
おすすめ度 ★★★★★
ちょっと複雑な経緯のアルバムです。
「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」の発売直後に発表されたテレビ映画、「Magical Mystery Tour」のサントラEPとしてイギリスで発売していたものだったけども、アメリカで発売する際に、適当なシングル曲を混ぜあわせて曲数を増やしてアルバム化しちゃって、それが評判良かったからイギリスに逆輸入されて、結局正式アルバムとして認められてしまったっていうことです。
ま、今から聴く人にとって、そんな蘊蓄は関係ないんだけどもね。
そんな理由から、このアルバムは統一性がないとか言われるわけだけども、そんなの「Sgt. Pepper's」と比較するからであって、全体的にサイケ色に満ち満ちていて、ボクはこれで十分だと思うんですね。
Sgt. Pepper'sよりも各曲が個性的だし、ずっと聴きやすいと思うし。
と言うよりも、個人的には、ビートルズの入門としてはこのアルバムが一番最適ではないかとも思います。
ジョンのStrawberry Fields Forever、All You Need Is Love、ポールのHello Goodbye、Penny Laneっていう、それぞれの代表曲を押さえてあるし、The Fool On The Hill、Your Mother Should Knowっていう、まさにポール・マッカートニーここにあり!っていう素敵な歌も収録しています。
The Fool On The Hillってホントに良い歌だなあ。
リコーダーの音が頭に染み付いて離れません。
もちろん、忘れちゃいけないI Am The Walrusも入っていますよー。
これ、ビートルズのアルバムとしては知名度が(あくまで他のアルバムと比較しての話だけども)イマイチかも知れないけども、非常に良いアルバムですので、かなり強くお薦めしちゃいます。
「ず、ずるい…」
おすすめ度 ★★★★★
本当は星5つあげたくはないんですが…いかんせんこんな収録曲じゃ5つ付けざるを得ません。
アルバムに一貫性はないというのに(5)〜(11)の展開は一体何なんでしょう?
もうどれもあまりに素晴らしい曲のオンパレードで、平常心を保つのが難しいです。
初心者の方にはもってこいのアルバムなんじゃないでしょうか?
(1)Magical Mystery Tourはポップでキャッチーなコーラス、
最後のヴァースでテンポが半分になるという意外性に富んだアレンジ、
ミステリアスなエンディング、まさにアルバムのオープニングにうってつけの名曲です。
(5)Your Mother Should Knowはポールの曲の中でも屈指の名曲だと思います。
メロディーセンスが半端じゃありません。変わった曲だしアレンジも面白い。
ジョン派の僕も大好きな曲です。
(6)I Am The Walrusはもう…最高にヘンチクリンで最高にキュートで最高にサイケな超かっこいい曲です。
何でこんな曲書けたんでしょう…。ハードでコミカルでユーモラス。
(8)Strawberry Fields Foreverはジョンの才能の一つのピークです。
こんな曲入れられたら星5つにするっきゃないです。
あまりにも完成された楽曲で全く隙がありません。
完全無欠のポップ・ミュージックです。
というわけで、悔しいですがケチのつけようがありません。
是非お試しあれ。
「エンヤ〜トット」
おすすめ度 ★★★★★
このアルバムに収録されている
アイ・アム・ザ・ウォルラスのエンディングでは
日本の民謡(エンヤ〜トット)のリズムが使用されています。
サージェントペパーのジャケットではご存知のように
福助人形が使用されており、
日本文化がビートルズに与えた部分もあるんですよ。
「サージェントよりカッコイイ!」
おすすめ度 ★★★★★
今となってはちょっと肩に力の入りすぎた感のある(そして、収録予定のペニーレインとストロベリー・フィールズをシングルにとられてしまった)サージェントより、曲の良さ、まとまりの良さともに際だっている名作である。私はそう思います。A面(6曲目まで)は同名テレビ映画サントラですが、それぞれ意味のある傑作ぞろい。映像のエンディングに流れるユア・マザー・シュッド・ノウはどのベスト盤にも収録されていないのが不思議なくらいの名曲ですしジョージ・ハリスンの風に乗ったような歌声が印象的なブルー・ジェイ・ウェイも秀逸、今やバリバリのスタンダード曲ザ・フール・オン・ザ・ヒルですら、ただのEP (イギリス盤では)の一収録曲にすぎなかったのです。ジョンもポールもジョージも、ここでは!実にのびのびと曲をつくっている印象があります。そして、この作品のポイントはやはり映像だと思います(でもDVDが今在庫切れ、とはショック!)。アイ・アム・ザ・ウォルラスのシュールさ、ユア・マザー・シュッド・ノウのシンプルな美しさ、ジョンがスパゲッティを盛るシーンやオール・マイ・ラヴィングのシーンなど、クールな映像が満載です。
「大好きなアルバム」
おすすめ度 ★★★★★
何故か一番好きなアルバムです。
幼い頃母親がよくかけていたテープの中に入っていた曲が多いせいかもしれません。FOOL ON THE HILLが特に好きでしたね。
アルバム全体としての好みはこのアルバムとリボルバー、ホワイトアルバムかなと思います。もちろん他のアルバムの楽曲も凄いものばかりでよく聴きましたが、個人的な好みということで…。
「ビートルズはさらに本格的かつ徹底的に論じられるべきである」
おすすめ度 ★★★★★
「グッドモーニング・グッドモーニング」(「サージェント・ペパー」第11曲)でジョンは、世界は「廃墟だ」とうたっている。この曲は、nothing を多用し it's OK で締めくくるなど「オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ」の先駆形だと思う。「なされることができないものはなし得ない/歌われることができないものは歌えない」。世界は「廃墟」である。にもかかわらず、ではなくて、だからこそ、「君たち(ぼくたち)に必要なすべては愛」だ、とジョンはうたう。私はこれほど純粋で決定的な愛の表現を知らない。
突然だが、ドストエフスキーに「未成年」という長編があって、その中で主人公の父親が「無神論の未来」について語る場面がある。私流に単純化すれば、神という最高権威を失った人類は、自分たちの無力と限界を思い知らされ、自分たちにはもう互いに愛し合う以外の選択ができなくなっていることに気づくだろう、といった内容だが、私はこれを読んだとき、ジョン・レノンだと思った。
ジョンの平和運動については軽いとか底の浅いといった批判がある。だが、重くて大きいことが必ずしもいいとは限らないし、仮にジョンのフットワークが余りに軽すぎるとしても、これを支えているもの(愛の思想)が卓越しているなら、これを不当に過小評価するべきではない。
ジョンの言葉への感覚が第一級なら、ポールの音にたいする感覚もこれに劣らない。「イエスタディ」のメロディは7小節フレーズでつくられている。もしこれが初耳の人は、今ここで自分でうたいながら指折ってみること。7小節フレーズでつくられているから凄い、というのは倒錯的だが、でも指折ってみないと気づかれないほど自然で、しかも美しく誰にでも親しまれる、というのはやはり驚くべきことだ。
「緩やかに流れる歌曲に牧歌的な印象を受ける一枚,」
おすすめ度 ★★★★★
「マジカル・ミステリー・ツアー」はビートルズ自ら企画した映画で本アルバムは前半がそのサントラである。個人的にはそうも思わないが、映画そのものは撮る側未経験の彼らにとって荷が重過ぎたらしく、当時の批評家筋からは酷評された。しかし、音楽のほうはさすがビートルズと言わしめるものを残している。アルバム化のいきさつもあって、シングルカットされていない曲のほうが少ないくらいだが、期待感の膨らむ「マジカル・ミステリー・ツアー」に始まり、ポールおはこのバラード「フール・オン・ザ・ヒル」へと続く。「ブルー・ジェイ・ウェイ」はジョージの音楽的志向の方向性がうかがえ、「アイ・アム・ザ・ウォルラス」や「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」はジョンの粘っこいボーカルが!!い。他にも「ハロー・グッドバイ」、「ペニー・レイン」、「愛こそはすべて」などはもはや説明の必要もない名曲−ビートルズの曲はこれが多くて困る−だ。全体にストリングスを始めとする多彩な楽器の利用が効果的なのと比較的ゆったりとした曲の流れとあいまって、牧歌的な印象を受ける名盤だ。
曲目リスト
1.Magical Mystery Tour
2.The Fool On The Hill
3.Flying
4.Blue Jay Way
5.Your Mother Should Know
6.I Am The Walrus
7.Hello Goodbye
8.Strawberry Fields Forever
9.Penny Lane
10.Baby You're A Rich Man
11.All You Need Is Love
概要
同名のサウンドトラック(1~6)に’67年のシングル曲(7~11)を加えたアメリカ編集アルバムのCD化。4や6でのエレクトロニクス導入の試みなど,聴きどころは多い。ただ6から7へと移るところは違和感が残る。LPならAB面に分れているのだが。