「「黒いストーンズ」の集大成」おすすめ度
★★★★★ この作品からストーンズを聴き始めて「最高!」と言える人はおそらく極めてセンスの良い人だと思う。音が悪い、暗い、野暮ったいとファンでない方が聴いたら、おそらく印象は良くない作品かもしれない。しかし、"Big Hits"系の作品や60年代のオリジナルアルバムを聴いてストーンズを好きになったら、この作品は必ずや最後に手元に残しておきたい一枚になるでしょう。
黒人音楽への憧れ・コピーから始まって、"Beggars...","Let it...","Sticky..."と深化し消化しきった「黒い音楽」の集大成がここにあります。LPの頃はジャケットの印象も相まって何かごちゃ混ぜの乱雑さを感じていたのですが、CDになって逆に実感したのが、1曲目から最終曲までの流れの素晴らしさです。"Tumbling Dice"や"Happy"などキャッチーな曲も目立ちすぎず「アルバム」として実によく出来ていると思います。
ミックテイラーのブルースギターの貢献は70年前後の実り多い時期に欠かせないものですが、このアルバムでは多彩なゲスト陣による演奏が作品にある種カオス的魅力を与えているようです。しかしそれ以上にキースのエネルギーの凄さといったら!
「ストーンズ魂がギュッと詰まった強力かつ重要な一枚」
おすすめ度 ★★★★★
"Sticky Fingers"に続いて72 年、ストーンズ初のダブルアルバムとしてリリース、彼らの荒削りなエネルギーと魅力がたっぷり詰まった傑作です。
ストーンズ作品の中でも"Banquet"と並んで、強靭さと弾力性が矛盾なく同居する彼等ならではの魅力を感じさせる内容です。音的には前作"Sticky Fingers"の線上、ラッパ系が若干多目、ブルースも濃い目にしながら、更に自由度を増したエネルギーがゴツゴツとうごめいてるような印象かな。
まず特筆したいのはMickのヴォーカル。粒子の粗いラフなギター(勿論Keithならでは切れ味)をバックにシャウトするヴォーカル、やっぱこの感じがいいんですね(正直言って80年代以降のMickは大声ばかりが空回りしてるような....)。"Tumblin' Dice"、"Black Angel"、"Shine a light"はじめMickならではの表現力にはゾクッとさせられます。また、"Ventilator blues" を代表格にしてMick Taylorのブルース心丸出しのソロもいい味です、Keithも"Happy"でキメるだけじゃなく数曲でベースまで弾いて大活躍。
一見雑然とした騒々しさの中にストーンズ魂がギュッと詰まった、古めのファンにはたまらない作品、また、Brand化した彼等に"なぁ〜んだ"と思っている若手ファンも十分刺激するラフでタフな彼等らしさが輝くCD一枚(オリジナルリリース当時はダブルアルバム)です。
「賑やかな流刑地」
おすすめ度 ★★★★★
楽曲・演奏が素晴らしいことは、今さら言うまでもないが、私が上手いと思うのはタイトルのセンス。単に「ならず者」というと、チンピラみたいだが、"exile" は、「流刑(地)」や「追放(された者)」と言う意味なので、「メイン・ストリートへの流刑」と言うか、「故郷を放逐された男が、都会の目抜き通りを、大手を振って歩いている」ようなイメージか?ロックに限らず、ひろく芸能一般の本質を捉まえているように思う。
「ストーンズファンには星5つ、そうでない人も他のアルバムを聞いていると星が上がってきます」
おすすめ度 ★★★★★
1曲目ロックス・オフのギターのイントロの格好良さ!
その後に「オーゥ、イエイ!」と歌詞の前振りが入りますが、まさしくイエイな気持ちに入ります。
さあロックの世界へようこそ!と、とにかくシビれます。
近年のミックには出せないサビ前のフレーズのボーカルの高さも聴く度にジーンと来ます。
5曲目のダイスをころがせのイントロも凄すぎます!
これはロックか?アメリカ南部か?リズム&ブルースか?はたまたカリブか?ゴスペルか?・・・結局これがストーンズなのです。
ロックが世界中の音楽を求めた大航海時代の全盛期の素晴らしさなんですね。
ロックに興味のある方は、まずこの2曲を聴いて下さい。
更にストーンズに興味が出てきたら
6曲目のスウィート・バージニア、10曲のハッピーを意識しましょう。前者は彼らのブルースに対する畏敬、後者はロックンロールに対する愛情を感じます。ちなみに後者のメインボーカルはキースです。
ストーンズに興味の出てきた方。
ちょっと前後のアルバムを聴いて(若しくは聴き直して)みましょう。
そしたら、またこのアルバムに戻って聴いてみましょう。
このアルバムはレコードで聴いた方が良い気がしてきます。
CDで聴く時も面の切り替わりを意識して、
A面1〜5、B面6〜9、C面10〜14、D面15〜18と分けて聴いてみましょう。
CDだと一枚なので少し長く感じていたものが、面を分けることで物足りなさが出てきたら、もうこのアルバムのトリコです。
4曲目のカジノ・ブギー、9曲目のラヴィング・カップなんて今したらロックじゃない人にも凄くウケそう。12曲目ヴェンチレーター・ブルースでストーンズやっぱりブルースだなんて思っていると、15曲目のオール・ダウン・ザ・ラインでまたまたロックン・ロールして最後ソウル・サバイバーで燃え尽きます。
このCDは面の切り替わる所に空白の時間が欲しいです。
なんて言ってるウチにホラ星5ツです・・ね。
ちなみにレコード盤には何か葉書が付いていたような気がします。
「モコモコした音」
おすすめ度 ★★★★★
この頃のアルバムの音はアブコ・リマスター・シリーズで60年代のアルバムが凄く良くなっている今となってはつらいけど、「このCDに使用したマスターテープは音質上一部難点がございますが、ローリング・ストーンズの貴重な名演を収録したものであり、ご了承お願い申し上げます。」とうたってあるししょうがない。貴重な名演です。判然としないけどミック・テイラーのギターが功奏なのかな。なおフォーマットによって値段はまちまちです。
「人生を誤らせるパワーに充ちた最高傑作」
おすすめ度 ★★★★★
このLP二枚組のアルバムが発売された1972年当時、私は狂信的とも言えるクラシック音楽のファンであった。哲学・思想では西洋は東洋の足元にも及ばないが、音楽は素晴らしい。パレストリーナ、モンテヴェルディ、バッハ、モーツアルト、ベートーヴェン、ブラームス…きら星のように輝くマスターたちは、人間精神の高さを示してくれる。
そんなクラシック派の私は、ロックなどは唾棄すべきもののように思えた。―宗教団体じゃあるまいし、大音量に脳神経が犯されて陶酔しているだけじゃないか。あんなものは音楽ではない―そんなことを公言してはロック派を怒らせていた。
そんな私を改宗させるべく、友人が用意した最終兵器がストーンズのこのアルバムであった。切れ味鋭いギター・リフに始まり、ブルーズ、ロック、ソウル、ゴスペル…ストーンズは黒人音楽を自家薬籠中に入れ、リラックスしながら自分たちの音楽を縦横無尽に繰り広げている。―私はすぐにこの素晴らしいアルバムに「ころがされて」しまい、熱狂的なファンに転向してしまったのである。
確かにロックは音楽ではない。それは自らの内にあるルシファー衝動を呼び覚まし、人間をあらぬところに連れて行く黒魔術なのである。―当時の私がそんなことを知る由はなかったが、ロックを毛嫌いしていたのはあるいはそんなロックの本質をうすうす感じ取っていたからもしれない。
あれから30年が過ぎたけれども、依然として聴くものを正しい道から踏み外させるような怪しい輝きは失われていない。自分の娘たちには聴かせたくない音楽だ。
「ロックの頂点、史上最強の70分」
おすすめ度 ★★★★★
〜ローリング・ストーンズの全盛期が1968-1972年にあったことを否定する人は誰もいないだろう。そしてこの2枚組(今はCDになって1枚組)全18曲のこのアルバムこそ、その頂点に立つ最強のアルバムであり、ディランの「追憶のハイウェイ61」と対等の位置を占める唯一の作品だ。
苦しいほどの情念が籠もった精神的な深み、という点では、Let It〜〜 Bleedの方が上かもしれない。しかし、ミック・テイラーの壮絶なギターが加入することではじめて、あらゆるブルース・フォーク・ロック・R& Bをストーンズならではのセンスで融合させていくことが可能になったわけだ。
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冒頭の「ロックス・オフ」からラストの「ソウル・サバイバー」まで、演奏のテンションの高さはすさまじく、曲もバラエティに富んでいる。シェイク・ユア・ヒップスのグルーブはジョンスペが逆立ちしても出せない、震いつきたくなるほどのタイトさだし、「カジノ・ブギー」のスイング・シャッフルの奥の深さがわかるまで聴き込んでほしいものだ。
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代表曲となった「ダイスを転がせ」、「ハッピー」の良さは言葉を越えているし、テイラーのスライド・ギターが炸裂する「オール・!メ?ウン・ザ・ライン」、これぞストーンズ節の極致「スイート・バージニア」などなど、すべてが掛け値なしに名曲。〜
曲目リスト
1.ロックス・オフ
2.リップ・ディス・ジョイント
3.シェイク・ユア・ヒップス
4.カジノ・ブギー
5.ダイスをころがせ
6.スウィート・ヴァージニア
7.トーン・アンド・フレイド
8.黒いエンジェル
9.ラヴィング・カップ
10.ハッピー
11.タード・オン・ザ・ラン
12.ヴェンチレイター・ブルース
13.彼に会いたい
14.レット・イット・ルース
15.オール・ダウン・ザ・ライン
16.ストップ・ブレイキング・ダウン
17.ライトを照らせ
18.ソウル・サヴァイヴァー