「ローリング・ストーンズのアルバムの中でも特別な作品です。是非、聴いて下さい。」おすすめ度
★★★★★ 夜明けを思わせるようなギターのフェイドインで幕を開けます。段々に他の演奏陣も加わって、静かに緊張感を高めていきます。そして次の瞬間「ウーッ」とミックがヴォーカルを唸り出す。怒号のハープが響き渡り、マリー・クレイトンの歌唱が戦火を煽る。
実は或る日突然これにやられるんです。@Gimmie Shelterに。最初はこのアルバム、他のストーンズの作品に比べて近寄りがたい雰囲気があるし、地味なくらいに思うんです。あの独特の軽やかなノリが感じられないし、とてもシリアスに作られている。それもこれもブライアン・ジョーンズの脱退そして死亡、ミック・テイラーの加入というバンドにとっての過渡期にあったからかもしれません。でも聴けば聴くほどにこのアルバムの虜になっていくんです。
是非、歌詞を読みながら聴いてください。そしてレコードみたいにA面とB面を意識して聴いてください。DLet It BleedとEMidnight Ramblerに少し間を空けられると良いかと思います。
ロバート・ジョンソンのカバーであるAは、切ない歌詞をミック・ヴォーカルがとても上手くとらえていて感動します。ユーモラスでレイジーなカントリーナンバーB。ドスの聴いたベースに切り込んでくるギター、ラップのようなミックのヴォーカル、途中で加わってくるヒップなピアノ、かっこいいソロを聴かせるしゃがれたテナーサックス、CはA面最高の盛り上がりを見せます。 尚、BCでは加入したミック・テイラーが早くもその存在をアピールする素晴らしいギターを披露します。
そして中間クライマックスで表題曲のD。地味なようで実はこの曲がアルバム全体の雰囲気を象徴しています。このアルバムの絶妙なバランス感覚を全て支えているのは、このDの存在であることに気付きます。
B面に入ってE。「さあ、そろそろ行こか。」てな感じでじわじわと熱をはらんでいきます。このジャム感覚溢れる緊張感がたまらない。ハープ・ワークのノリがかっこいいー!!。この辺から理屈じゃなくなってきます。
クライマックスを目前にキースの渋いブルースF。ミックが一時抜ける。これが味噌。クライマックスに向けての準備はいいかい?
G。クライマックス第一弾。シリアスなピアノで始まり段々熱気を帯びていきます、そして絶頂で一気に美しく感動的なピアノソロに切り替わる。この瞬間。もう鳥肌立ちまくります。浸っていると、そこへまた
「アマモンケーィ!!」
とミック。どうぞ失神してください。
H。まずロンドン・バッハ合唱隊とアル・クーパーのフレンチホルンが叙情性をあおるように絶妙の演出をしてくれます。歌詞に注目してください。ミックが静かに語り始めます、、、、
これこそ感涙必死の大フィナーレ!!
涙なしには最早いてもいられません。素晴らしいの一言。聴き終わると、いつの間にか涙と共に熱が引いていて、自分がとてつもないカタルシスを体験したことに気付くでしょう。
最高のロック・パフォーマンスです。彼らの最高傑作は沢山ありますが、その中でもずばり最高傑作の中の最高傑作。星5つ以外に何があるというのでしょう。
「問答無用の名盤だ」
おすすめ度 ★★★★★
ストーンズ黄金期のアルバム。ベガーズ・バンケット、この盤、ステッキー・フィンガーズ、メインストリートのならず者と傑作揃いだが各曲のまとまり具合、アルバム全体を通してのブルージーさとストーンズサウンドの完成型が聞けるこの盤が一歩リードかな。個人的にも一番聞いた、そして永遠に聞き続けるであろう盤であります。この盤ではブライアンが2曲にしか参加していないし、ギターもほとんど弾いていない。
新メンバーのミック・テイラーも「カントリ・ホンク」と「リブ・ウィズ・ミー」の2曲に参加のみ。よってギターパートはほとんどキース1人でやっているわけ。だからキースファンにはたまらんアルバムなのだ。今もステージでこの盤からほとんどの曲が演奏されていることを思うとストーンズ本人もお気に入りかつ自信を持っているアルバムであることがよくわかりますね。
「ストーンズはこれが最高!」
おすすめ度 ★★★★★
30年来のストーンズファンですが、前年の「ベガ−ズ・バンケット」と並んでこれが最高傑作と思っています(刺激度ではバンケット、完成度ではこのブリードって感じでしょうか)。
シングルヒットは含まれてないものの、ストーンズらしい湿った粘り気のある音、ブルースベースが混沌とした状態で詰め込まれた感じが最大の魅力。キースのあのルーズなコードカッティングが醸し出すぞくぞくするようなうねり、聴くものを誘い込むようなサタニックなミックのヴォーカルを軸に、一塊の音の濁流が渦巻いている独特の感触。
ここ10数年、ストーンズにブランド化してしまったような寂しさを憶える自分にとって、ストーンズとはこれだと言える貴重な音の記録として大切にしている作品です。
曲目リスト
1.ギミー・シェルター
2.むなしき愛
3.カントリー・ホンク
4.リヴ・ウィズ・ミー
5.レット・イット・ブリード
6.ミッドナイト・ランブラー
7.ユー・ガット・ザ・シルヴァー
8.モンキー・マン
9.無情の世界 ※〈CD/SACDハイブリッド仕様〉
概要
1969年11月リリースの米国14枚目。制作時の脱退問題でブライアンが2曲、新加入のミック・テイラーが2曲で参加している。ライ・クーダーやレオン・ラッセルといったメンバーが参加。