「最期の本気が詰まった、恐るべき傑作」おすすめ度
★★★★★「最終的に、君が得る愛は、君が創り出す愛に等しい」(「ジ・エンド」より)
この曲のレコーディングを最期に、4人がスタジオに揃う事は永遠にありませんでした。
なんだか涙が出てきちゃいます・・・。
しかしそんなセンチメンタリズムとは別次元で、「4人が揃って本気出せば、これ程の力がある」を物の見事に証明した、恐るべき傑作です。
この作品の素晴らしさは、それこそ世界中で語られているのですが、ジョン曰く「生命力がない死んだようなアルバム」・・・。
彼の自他楽曲に対する論評はかなり的確で、それも一言で言いきってるんですね。
このアルバムを聴いた回数は数えきれないんですが、ジョンの論評も今では理解出来る気もします。
「カム・トゥゲザー」を録音した後、ポールは「もうジョンとは上手くハモれなくなった」とも言ってます。
ここまで成熟した彼等も、ちょっとセンチメンタリズムが顔を出したのかもしれません。
先の「ジ・エンド」レコーディング中は、4人とも無駄口も叩かず、淡々とハーモニーを付けていったと聞きます。
「このアルバムで最期だ」と判っていた彼等は、お互いへの心は冷めていたかもしれないけど、いつもの様に本気で彼等の音楽に取り組んだのでしょう。
「最期にして最高傑作」との呼び名も高いこのアルバムですが、そんな彼等の「新たに生み出す力はもうないけれど、だからこそ割り切った」本気がみなぎっています。
この作品を聴く事が出来た自分は、ホントに幸せです。
「ゴールデン・スランバーのポールのヴォーカルに一票」
おすすめ度 ★★★★★
「オー! ダーリン」、「ゴールデン・スランバー」の
ポール・マッカートニーのヴォーカルは,
やさしく,強く,包み込むような感じで,いかしてますね。
オクトパスガーデンも楽しい感じ、
私は好きです。
総じて,
完成度的に高い局が多いので、
アルバムとしてはお薦めです。
「感傷を抜きには語れません」
おすすめ度 ★★★★★
ビートルズの実質上のラストアルバムです。
つまるところ、ラストレコーディングってわけです。
よくよく聴けば、むっちゃカッコ良いロック・Come Togetherやジョージの名曲Something、Here Comes the Sun、可愛い曲調にエグい歌詞のMaxwell's Silver Hammerなどなど、忘れられぬ名曲が並んでいて、当時メンバーの仲は最悪に近かったはずなのに、仕事はきっちりという印象を抱きますね。
まあ、この頃になると、ジョンとポールの曲想ははっきりと違ってきていて、そもそも同じバンドにいること自体が無茶な組み合わせに近い形になってるってことも聴いて取れるんだけども。
ただ、そんな蘊蓄を傾けて聴いていられるのはA面の間だけ。
後半、You Never Give Me Your Moneyから最後までの怒濤のメドレーに関しては、理屈もなにもあったもんじゃないです。
次々と飛び出す音楽達、しかし、それは最後に向かって突っ走っていく姿を彷佛とさせるわけです。
聴いていて、何度も「終わらないでくれい!」と叫び続けたことでしょう。
しかし、その願いも空しく、ENDを迎えるわけなのです。
(アンコールナンバーもあるけどさ。)
楽曲の素晴らしさと感傷が重なってしまい、最高に素晴らしく、そして切ないアルバムだと思います。
曲目リスト
1.カム・トゥゲザー
2.サムシング
3.マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー
4.オー! ダーリン
5.オクトパス・ガーデン
6.アイ・ウォント・ユー
7.ヒア・カムズ・ザ・サン
8.ビコーズ
9.ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー
10.サン・キング
11.ミーン・ミスター・マスタード
12.ポリシーン・パン
13.シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウィンドー
14.ゴールデン・スランバー
15.キャリー・ザット・ウェイト
16.ジ・エンド
17.ハー・マジェスティ
概要
69年9月にリリースされたビートルズの事実上のラストアルバム。その完成度の高さから、彼らの最高傑作と呼ばれることも多い。特に、<9>からラストまで続くメドレー風のパートは、その構成力を高く評価されている。
メンバーのなかでは、ジョージ・ハリスンの活躍が光るアルバムで、<2><7>と後にスタンダードナンバーとなる2曲を提供し、プレイヤーとしても随所でバンドサウンドの要となるフレーズをはじき出している。この作品が60年代ロックの1つの到達点であることは間違いない。(星野吉男)