「ACHILLESS LAST STAND」おすすめ度
★★★★☆このアルバムのオープニングを飾る「ACHILLESS LAST STAND」は、リフメーカーであるジミーペイジの集大成といわれています。
古代ギリシャ神話のアキレスという兵士(アキレス腱の元になった人)のことを歌った歌なのですが、随所に見られる超かっこいいギターリフには、「よくこんなにアイディアが尽き無いなあ・・・」と感心させられるばかりです。
最近公開された映画「トロイ」もアキレスの一生を綴った映画です。この曲が使われていないかな・・・と期待を込めて、映画館まで足を運んだのですが、使われておらず、がっかりしたのを覚えています。でも、内容自体とても面白かったので、「トロイ」も同時オススメです!
「Achilles Last Stand!」
おすすめ度 ★★★★★
1976年発表。レッド・ツェッペリン7枚目のアルバム。1969年2月にデビュー・アルバムを発表して以来ほぼ1年1作の割合でレッド・ツェッペリンはアルバムを発表し73年までに5枚のアルバムを発表してきたが1974年はその恒例たるアルバムの発表が無かった。そして1975年に2枚組の前作『フィジカル・グラフィティ』が発表され、数的に追いつき、1年1作のルールは今回も守られたのだ(●^o^●)。
何といっても秀逸は1の『Achilles Last Stand』だろう。ジミー・ペイジのギターとロバート・プラントのボーカルが延々とバトルを続ける10:28のこの曲はツェッペリン・ファンの胸底に響き渡る。
一方、相変わらずジャケットも凝っていて、Vと同様ヒプノシスが担当している。『The Object』と名付けられたこの黒い物体は随所に現れ、彼らのレコード会社の『Swan Song』の商標登録まで得ているようだ。
ジミー・ペイジってホント面白い人だ。
「明るいハードサウンド」
おすすめ度 ★★★★★
ジミー・ペイジのギターがより一層前面に出たこのアルバムは、非常に多様な音楽性を有していたそれまでの作品と比べて確かにハードであり、ラストナンバーのブルース曲「一人でお茶を」を除けば、全体的にとてもアッパーな仕上がりになっています。
オープニングを飾る後期の代表曲「アキレス最後の戦い」は、全体にみなぎる緊張感とその持続、そして圧倒的な疾走感という点ではツェッペリン最高の曲と言えるでしょう。全体で10分半という長さを考えると、この曲に存在する、息切れや中だるみというものを知らないテンションの高さは、本当に驚異的と言う他ありません。
しかしこれ以降に続く曲は、確かにペイジのギターが前面に出てハードではありますが、その曲調は一転して明るくなり、「アキレス」に存在した緊張感はやや後ろに下がった感じになります。四曲目の「俺の罪」では再びそのヘヴィな緊張感が戻ってきますが、次の「キャンディ・ストア・ロック」になると、再びその緊張感は後ろに下がり、最後の「一人でお茶を」に至ります(ちなみにこの「俺の罪」は、ペイジのヘヴィかつ強引なリフがガンガン続く名曲です)。
アルバム全体を聴いてみると、「アキレス」や「俺の罪」とそれ以外の曲とのギャップが結構大きく、初めて聴く方は、一曲目の緊張感(言い換えると「緊張感あるハードさ」)をアルバム全体に求めると、あるいは物足りなく感じられるかもしれません。逆に「明るいハードさ」で言うと本当に素晴らしいアルバムです。二曲目の「何処へ」や渋い雰囲気の「一人でお茶を」など、聴き所に不足はありませんので、このアルバムを初めて聴く方はあまり周りの評価に縛られず、まっさらな気持ちでいておくのも良いかもしれません。
曲目リスト
1.Achilles Last Stand
2.For Your Life
3.Royal Orleans
4.Nobody's Fault But Mine
5.Candy Store Rock
6.Hots On For Nowhere
7.Tea For One
概要
全編がジミー・ペイジによるハードなエレクトリック・ギターとファンキーなリズム・セクションによるソリッドな演奏によって貫かれている、純度の高い結晶のような大傑作アルバム。前作『フィジカル・グラフティ』と前々作『聖なる館』が多彩な内容の作品なだけに、余計にこのアルバムがシンプルで重たく緊張感のあるものに感じる。特に彼らの要素を凝縮したような最高傑作曲<1>は、津波の如く強烈に押し寄せるジョン・ボーナムのドラムが尋常でない。(麻路 稔)