｢ＳＴＩＣＫＹ　ＦＩＮＧＥＲＳ｣は全体的に７０年代を向かえてストーンズが新しい時代、音楽を作っていこうという構想がうかがえます。たくさんの優れたミュージシャンを起用し名演の連続です。そして歌詞や曲作りからレコーディングのやり方まですばらしいと思います。個人的には、ミック・テイラーのギタープレイにしびれますね。彼は何曲か作曲してますが、クレジットに載らず、（Jagger-Richard）になってしまう話は有名です。

「ツブ揃いの名曲、重要曲が目白押しの充実作」
おすすめ度　★★★★★

名盤の呼び声高い"Bleed"リリースから約1年後、Rolling Stones Record創業第一作として、あのベロマークとともに登場したのが本作です。 じらしたあとにインパクト十分なジャケット、Mickの結婚など何かと話題の多いリリースでしたが、そんな騒ぎなくとも正真正銘の名盤です。これぞ Stonesと言わんばかりのイントロの"Brown sugar"から、最近の映画タイトルにもなっている"Moonlight mile"まで、充実した出来です。本作の重要性は、"Banquet"、"Bleed"でほぼ完成の域に達したStonesの音（あの独特の混濁した粘りとうねり）をベースに、更に新たな音を吸収し見事に消化していることでしょう。 カントリーとのブレンドがいい"Dead flowers"、"Wild horses"、ゴスペルっぽい"I　Got　the blues"、汎東洋風味の"Moonlight mile"と印象的な佳曲が続ます。中でも分厚いうねりをバックにしたMickのヴォーカル、ストリングスも効果的な"Sway"、混沌とした緊迫感の中にStones風スライド･ギターが大活躍する"Sister morphine"あたりはこの時期のStonesの音として特に貴重と思っていす。 全10曲、彼等の充実ぶりを実証するかのようなスキのない名盤です。

「ｽﾄｰﾝズのスタンダード」
おすすめ度　★★★★★

1971年Stones 自らのレーベルから発売された第１作目のアルバムであると同時に"Let It Bleed" の並びｽﾄｰﾝｽﾞの黄金期を象徴する素晴らしい内容。「Beggars Banquet」「Let It Bleed」のﾌﾞﾙｰｼﾞｰでﾄﾞﾛっとした音楽性からﾛｯｸ色（「brown　sugar」、ｶﾝﾄﾘｰ色（「dead flowers」「wild horses」等）が強くなり始めた転換期のｱﾙﾊﾞﾑと言って良いと思う。Mick Taylerのｷﾞﾀｰもそうだけど、このｱﾙﾊﾞﾑのもうひとつの良さはBobby Keysのｻｯｸｽだ。[brown　sugar」から展開されるﾎﾞﾋﾞｰのｿﾛはﾎﾝﾄかっこいい。


曲目リスト

1.Brown Sugar
2.Sway
3.Wild Horses
4.Can't You Hear Me Knocking
5.You Gotta Move
6.Bitch
7.I Got The Blues
8.Sister Morphine
9.Dead Flowers
10.Moonlight Mile

概要
 『ベガーズ・バンケット』『レット・イット・ブリード』『メインストリートのならず者』と並び、最高傑作の呼び声も高い1971年発表の作品。アメリカ南部音楽へのアプローチが本格化、全編を泥臭くのびのびとしたムードが漂う。キースお得意のコード・カッティングが炸裂する<1>、リラックスしながらも攻撃的な<2>、グラム・パーソンズを歌ったといわれる<3>、ドライヴ感のあるシンプルなロック<6>など、名演奏・名曲満載。新加入のミック・テイラーのソロが光るセッション風の<4>の奥深い味もこのアルバムの価値を高める。（麻路 稔）