「「Naked」とは別物」おすすめ度
★★★★☆[Naked]を聴くと、長年聴いてきたからこのアルバムのテイク、曲間や曲頭のセリフがあるバージョン([Two Of Us]は口笛、[One After 909]は“ダニー・ボーイ”、[The Long And Winding Road]は“イェイェイェイェー”、[Get Back]は“サンクス・モー”とジョンのスピーチで終わるバージョンなどなど)がしっくりくる事に気付く。以前は「いらねぇだろ」と思っていた[Dig It]も荘厳(笑)な[Let It Be]のオープニングとして重要に思えてくる([Maggie Mae]も)。個人的に[LET IT BE]はオリジナルアルバムの中でさほど重要なアルバムでは有りませんでしたが、それでもかなり耳に染み付いている事に驚きました。ただしこれからビートルズを聴こうとする人は[Naked]を聴いてから購入する事をオススメします。
「再び脚光」おすすめ度
★★★★★Let it Be Nakedのリリースによって再び脚光をあびるようになった
このアルバム。ともすればフィル・スペクターによってメチャクチャ
にされてしまった、との意見を助長しそうなムードだが、数十年間
この形ですでに十分な評価を得てしまっているので大丈夫だと思う。
というわけで、私はこのアルバムはとても好きなのだ。ポールはク
リエイターとしてフィルのオーバープロデュースに怒るのはもっと
もだと思うし、それで今回のネイキッドが出たのは望ましいことだ
とも思う。だけど、この作品はとてもうまくまとめられていると思
う。
なぜなら、ビートルそれぞれが生きた人間ドラマをこの作品から強
烈に感じるからだ。同名映画を観たので、よけいにそう感じるのか
もしれないが、ともかく音楽が好きでたまらない4人がビートルズ
という枠の中でもがいている姿が感動的だ。
とにかく、初期衝動と終末感、希望とか夢とか、いろんな要素があっ
てビートルズのアルバムの中でもとりわけ味わいが尽きない。
「盗難テープが戻って来た」
おすすめ度 ★★★★★
映画『Let・It・Be』ではジョージ作のワルツ「アイ・ミー・マイン」で
ジョンとヨーコが踊るシーンが印象的だたった。
そして、ポールとジョージの喧嘩は何ともやるせない気分になる・・・
「わかったよ! お前が言う通りに弾くよ! お前が弾くなって言うなら弾かないよ!!」
冷め冷めとした空気が支配し、かつての溌剌としたビートルズは其処には無い。
そんなイメージの悪い映画のサントラが本作品である。
しかし、このアルバムにはビートルズを代表する曲が収録されている。
レット・イット・ビー、ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード
アクロス・ザ・ユニバース、ゲット・バック
これ程の楽曲をその出来に「気に食わない」と、捨てようとしていたのである。
ビートルズでなけ!!ば在り得ないことである。
レコード会社も売らにゃ損とばかりに、フィル・スペクターに託し
何とかレコードを完成させる。一応メンバーも納得。めでたくリリースとなる。
やはり、各曲がぶつ切りになった様な印象はいがめないが、先の4曲も含めビートルズならではの楽曲が収録されている。
特にレット・イット・ビーではジョージの素晴らしいギターが印象的である。
弾くのは難しくないが、あのドンピシャっとはまったフレーズはジョージの才能以外の何ものでもない。
そして、青レコードでは別のアプローチが聞け、以前「ニュースステーション」でやったプロモでは、そのどちらでもないフレーズを弾いていた。
30年振りにゲットバックセッションのルーフセッションの盗難テープが戻って来たそうだ早く『Let・It・Be』の全貌を聞きたいものである。
個人的にはとても好きなアルバムです。
「いきさつはさておき、名曲揃いの1枚です。」
おすすめ度 ★★★★★
このレコードにまつわるもろもろの出来事はいったん記憶から消し去りましょう、もう30年以上前の出来事なのです。純粋に音として、歌として聞けば、これだけはずれのないLPは、ビートルズの中でもベスト1とはいわなくとも上位にランクされておかしくないと思うのです。「ディグ・イット」と「マギー・メイ」以外すべてとびきりの名曲揃いです。「サージェント」や「アビイ・ロード」的なコンセプト・アルバムとしては弱いけれど、名曲集だと割り切ればぜひ買いそろえたいラインナップです(ここでしか聞けない名曲も多いのです)。またフィル・スペクターも実に細かな仕事をしています。たとえば「レット・イット・ビー」。最後2回サビを繰り返す部分、リンゴのハイハットが拍子を刻む際のフェードアウトしていくところなど、まったくのフィルの“創作”です(シングルバージョンと比べてみて下さい)。
個人的にはビートルズの中で初めて買ったLPのせいか少々点が甘くなっているかもしれません。ですが、お薦めの1枚です。
「ビートルズ解散の原因となった重要なアルバム!」
おすすめ度 ★★★★★
元々はジョージマーチンの片腕グリンジョーズによって最終ミックスまで行った幻のアルバムGet back with dont let me down with 9other songsと言うものが在ります。このアルバムはオーバーダビングは一切しないというコンセプトで制作されました。今ではそのミックスがアンソロ3に Ive got a feeling/Two of us/Dig a
pony/For you blue/Teddy boy/The long and winding road/と6曲聞くことができます。これを聞けばわかりますが、あまりにもシンプルそして雑な編集でリリース直前にジョンの中止命令が下り、プロデューサーをジョンの希望でWall of soundで有名なフィルスペクターを起用して作り上げられたのが本盤です。ここでは最初の、全て一発録りというコンセプトは捨ててしまい、過剰にオーバーダビングされ気味ですがスペクターによってAcross the universe/Let it be/The long and winding road/I me mineに新しい生命を吹き込み歴史に残る名曲にしたのは事実です。ポールは特にThe long and winding roadのミックスに腹を立てているようですが、アンソロバージョンの方が特に優れているとは私には思えません。ピュアなビートルズマニアには不評なアルバムですが、私は好きです。
追伸 スペクターはこの後ジョージとAll things must pass、ジョンとImagineという大傑作を作り上げました。
「神話の最終章!」
おすすめ度 ★★★★★
世界中を席巻し、ブームを巻き起こし、伝説を作り上げた4人の物語に終わりが近づいた。
「アビー・ロード」が最後のレコーディングなのだが、発売されたのはこのアルバムが最後で、やはりこのアルバムがラスト・アルバムと思える。
そのせいか、なかなか冷静に聞くことが出来ないのだが・・・。
この時期の4人の間はかなり険悪になっていたようだが、一人一人の思いが詞となり、曲に乗り移ったかのように物凄い名曲が続々と生み出されている。
オープニングの「トゥ・オブ・アス」などポールとジョンを連想仕舞がちになるのだが・・・。実際はポールとリンダのことを歌ったものらしい。
「アクロス・ジ・ユニバース」「レット・イット・ビー」「ゲット・バック」など凄い曲がズラリ。シングル発!売されたものとはヴァージョンが違っている。
ビートルズの作品で唯一、フィル・スペクターがプロデュースし、問題の「ザ・ロングアンドワイディングロード」が生まれた。ポールは嫌っているらしいが、やはり名曲だと思う。
このアルバムを聞くと、伝説が終わる時の深い哀しみを感じてしまう。
最後に聞いてほしいアルバム。
曲目リスト
1.トゥ・オブ・アス
2.ディグ・ア・ポニー
3.アクロス・ザ・ユニバース
4.アイ・ミー・マイン
5.ディグ・イット
6.レット・イット・ビー
7.マギー・メイ
8.アイヴ・ガッタ・フィーリング
9.ワン・アフター・909
10.ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード
11.フォー・ユー・ブルー
12.ゲット・バック
概要
69年1月の『ゲット・バック・セッション』の風景を追った同名ドキュメンタリー映画のサントラ盤として、70年5月にリリースされた。そのセッション自体が、昔の自分たちに戻ろうというコンセプトで行われたため、このアルバムに入っている曲の大半はファーストアルバム以来のスタジオライヴ形式で録音されている。
メンバー間の人間関係が悪化していた時期だったことも手伝って、何となくギクシャクした印象のアルバムだが、アップル・ビル屋上でのライヴ録音曲では久々に息のあったバンドサウンドを聴くことができる。(星野吉男)